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本作について

 

幼い頃の思い出です。クリスマスの朝目覚めると、庭の木にお菓子のブーツが吊されていました。真冬のことで、ブーツは完全に凍りつき、食べることができませんでした。あとで分かったことですが、ドジなサンタクロースの正体は祖父だったそうです。煙突のない我が家にサンタクロースが侵入したのでは、僕が疑うのではないかという深読みの結果、色々と空回りをして、雪降る真冬の庭にお菓子のブーツを吊るすというお茶目な演出となったようです。「ドジなサンタもいるもんじゃね~か」と苦笑いをしていた祖父の顔を思い出します。お菓子は食べられませんでしたが、その代わりにもっと素敵な何かを食べたような気がします。さて、今回の物語・・・
 
「人は人生で一度はサンタクロースになる」
 
そんなテーマで書き始めた物語です。サンタクロースのお腹は、子供達の笑顔を食べ続けて太鼓腹になってしまったそうです。誰かが誰かのためにサンタクロースになれる。そんな素敵なクリスマスになることを祈りつつ、この物語をお届けいたします。

原作・脚本・演出 藤沢文翁